EPWINGデータを作成するEBStudioにはフリー版と有料のプロフェッショナル版があります。フリー版は単なる前方一致検索(用のEPWINGデータ作成)しかできません。より多彩な検索の出来る(EPWINGデータを作成できる)プロフェッショナル版のライセンス購入をお勧めします(注:私とEBStudioの作者は別人です)。
重要:ただし、2012年3月末に発生した株式会社ベクターの販売サイトへの不正アクセス対応のため、2012年4月現在、カード決済出来ません。
なお、EBPocketの無料版や、一部のEPWINGソフトは条件検索に対応していません。EBWin/EBMacは無料版でも条件検索に対応しています。
このページでは、プチ・ロワイヤル仏和を例に解説しますが、他の辞書も同様です。
EBStudioのプロフェッショナル版を使い、本来の辞書見出しと日本語訳語は前方一致検索で、辞書本文中の欧文単語は条件検索で見つかるようにした例です。
前方一致では、通常の辞書引きと同じように、一つだけ見つかります。
条件検索すると、「検索語 - それを含む項の見出し」の形式で、見つかった箇所を表示します。
アクサン記号などは、付けても付けなくても検索できます(逆に、付いているものだけ・付いていないものだけを検索することは出来ません)。
日本語は欧文と混ざることがないので、デフォルトで前方一致検索としています(条件検索にも出来ます)。「愛」を前方一致検索すると、「愛」で始まる和訳(例文の和訳を除く)が見つかります。「〈人〉に愛情[愛着]を抱く」など、斜体表示の助詞などは見出し語から除いていますので、これも見つかります。
プチ・ロワイヤル仏和とアクセス独和では、訳語が太字になっている項目については、「* 愛情 - affection」のように、先頭に「*」を付けています。ロワイヤル仏和や羅和辞典では訳語に太字の区別がないので * は付きません。
「愛」をクロス検索すると、見出し語の末尾以外に「愛」を含むものを検索します。
「愛」を後方一致検索すると、見出し語の末尾に「愛」を含むものを検索します。
「自動」検索にすると、前方・クロス・後方一致のすべてが表示されます。
さらに複数の語の検索などは、EBWinのマニュアルを参照。
「set KEYTYPE_LA=条件」として出来たHTMLファイルをフリー版で処理すると、欧文単語は検索見出しになりません。「set KEYTYPE_JP=表記」としておけば日本語の前方一致検索はできます。
この場合、全文検索で単語を検索することになりますが、EPWINGの仕様により(?)、記号付き文字(外字)を含む単語は見つかりません。なので、元々ある辞書見出しが検索できればよい方はフリー版でも良いのですが、本文中の検索をしたい方はプロフェッショナル版でのEPWINGデータ作成をお勧めします。
なお、makehtml.batの冒頭で「set KEYTYPE_LA=表記」とすると、本来の辞書見出しも、本文中の欧文単語もすべて前方一致検索で検索できます。しかし混ざってしまうと使いにくいです(赤枠付きの見出しが本来の辞書見出しの項目です)。クロス検索・後方一致検索相当の検索は出来ません。
本文中の欧文・和文の単語見出しを何検索にするかは、変換ツールに付属のmakehtml.bat(羅和辞典だけはstep5.bat)冒頭の「set KEYTYPE_LA=○○」「set KEYTYPE_JP=○○」で指定します。デフォルトでは、欧文は「条件」、和文は「表記」(前方・後方一致やクロス検索用の検索キー追加)にしてあります。ここを確認・修正してからバッチを実行し、HTMLファイルを作成します。
EBStudioを起動し、メイン画面右下の「インデックスの指定」で、「前方一致表記検索」「後方一致表記検索」「条件検索」「クロス検索」「メニュー検索」をチェックします。
更に、オプション→詳細設定→INDEXで「見出しの単語をクロス条件検索に自動登録」をチェックすると、自動的にクロス検索が出来るようになります。「本文中の漢字・カタカナを条件検索に自動登録」「・・・英単語を・・・自動登録」のチェックは不要です(それに相当する見出し情報をHTMLファイルの中に生成済みです)。
出来たEPWINGデータを、条件検索(やクロス検索)に対応しているソフトで利用してください。
「set KEYTYPE_LA=条件」のままでHTMLファイルを作成し、それをフリー版で処理すると、欧文単語は見出しになりません。
EBWin/EBMac/EBPocketは、記号付き文字や発音記号などの外字をUnicode文字として、きれいに表示できます。
各辞書のEPWING化ツールには、PETROYAL.mapのような拡張子がmapのファイルと、PETROYAL.plistのような拡張子がplistのファイルが一つずつあります。
mapファイルはEBWin, EBPcoket for Androidで、plistファイルはEBMac, EBPockt for iOSで使います。使い方はそれぞれのサイトを見てください。
長母音発音記号(ː = `ː')は、環境によっては表示されなかったり、表示されても妙に幅が広くなってしまうことがあります。環境依存の問題を避けるため、デフォルトでは単なる半角コロン(: = `:')を表示するようにしています。
なお、長母音発音記号を表示するのはプチ・ロワイヤル仏和とアクセス独和だけです。それ以外の辞書では関係ありません。
本来の文字で表示するには、mapファイルやplistファイルを以下のように修正します。
行頭に#の無い設定が有効になります。
変更前 | 変更後 |
---|---|
#hA359 u02D0 # 長母音発音記号 hA359 u003A # 半角コロンで代用表示 |
hA359 u02D0 # 長母音発音記号 #hA359 u003A # 半角コロンで代用表示 |
<string>○</string>の、○の文字を変えます。
変更前 | 変更後 |
---|---|
<key>hA359</key><string>:</string> | <key>hA359</key><string>ː</string> |
アクセス独和辞典の発音記号には、連結を示す文字(͜ = `͜ ')が使われています。これも環境によっては正しく表示されないことがあるので、タイ記号(͡ = `͡ ')で代用表示しています。連結が二重調音になってしまいますが、環境依存なのでご容赦ください。
これも、長母音発音記号と同様に、hA370の行の指定で、表示する文字を変更できます。
すでに一般には販売されなくなったEPWINGデータを利用するために、今も精力的に開発を続けておられる開発者のhishida氏に深く感謝します。