Chapter 38. TDB ファイルの管理

John H. Terpstra

Samba Team

2008年5月28日

Table of Contents

特徴と利点
TDB ファイルの管理

特徴と利点

Samba は軽量なデータベース Trivial Database (tdb) を利用する。一時的や 永続的なデータをそこに格納する。 一部の tdb ファイルは Samba を再起動する前に破棄できるが、その他は Samba の設定や振る舞いにとって重要な情報を格納するために利用される。 Samba のインストールについてよりよい管理を摸索している 管理者の助けとなるように下記の情報は提供される。

OSとともに商用ディストリビューションにSambaをパッケージする場合とアプライアン スの場合、十分に注意するとよいだろう。 tdb ファイルは破損することがあるため定 期的にバックアップするべきである。適切なタイミングはシステムシャットダウン(バ ックアップ)とスタートアップ(バックアップからのレストア)である。

Samba 4.1以降、'use ntdb' が設定された場合、NTDB形式が使われる。この場合、tdbファイルは 自動的に(.ntdb拡張子を着けて) ntdb ファイルに変換される。古い .tdb ファイルは、 間違って使われることを防ぐ為に、'This is now in an NTDB'へのシンボリックリンクになる。 以下の表は、どのデータベースが、現在NTDBファイルで有効かを示す。

Table 38.1. Samba の Trivial Database ファイル

ファイル名要保存NTDB説明
account_policy.tdbN

たとえばパスワード有効期限などのようなNT アカウントポリシー 設定など。

brlock.tdb不要N

バイトレンジロック。

browse.dat不要N

ブラウズリスト - 自動的に再構築される。

connections.tdb不要N

各共有への接続。最大接続数までに制限するためなどに利用される。

gencache.tdb不要N

汎用のキャッシュ用データベース。

group_mapping.tdbY

グループマッピング情報を格納する。LDAP バックエンドを利用する際には使わない。

lang_en.tdbY

使用する言語のエンコーディング情報を格納する。

locking.tdb不要N

共有モードと oplock 情報を格納する。

login_cache.tdb不要N

パスワードの失敗のログを保管する。

messages.tdb不要N

Samba 内部メッセージングの追跡に使用する。

netsamlogon_cache.tdbN

ドメインメンバーからのリクエストnet_samlogon() からのユーザー net_info_3 構造体のキャッシュ。

ntdrivers.tdbF

インストールされたプリンタードライバー情報を格納する。

ntforms.tdbY

インストールされたプリンターのフォーム情報を格納する。

ntprinters.tdbY

インストールされたプリンター情報を格納する。

printing ディレクトリY

キャッシュされた lpq 出力のプリントキュー毎の tdb ファイルを含むディレクトリ。

registry.tdbY

Windows レジストリスケルトン(regedit.exeを経由して接続)。

sessionid.tdb不要N

utmp = yes機能をサポートするためのセッション情 報。

share_info.tdbN

共有レベルの ACL 構成設定を格納する。ACLの既定値は 全員 - フルコントロールである。

unexpected.tdb不要N

発信リクエストとは異なるポートへ返信する Windows クライアントを サポートするため予期せぬパケットのキュー。

winbindd_cache.tdb不要N

Winbind のユーザーリストのキャッシュ。

winbindd_idmap.tdbN

Winbind の ローカル IDMAP データベース。

wins.dat不要N

wins support = yesがセットされている間だけ 利用される WINS データベース。再起動するたびに再構築または更新 される。

wins.tdbN

全ての WINS データのための作業用の永続的なストレージ。smb.conf ファイルの中で wins support = yes がセット されている時だけ利用される。 注意: 手動で構成されたすべての WINS エントリを保有する。手動設定は net ユーティリティを使用して行うことができる。

secrets.tdbY

この tdb ファイルは内部設定を格納する、例えば machine/domain SID、 LDAPと共に使われる秘密パスワード、machine 秘密トークンなど。 これは安全な場所に格納される必須ファイルである。ベンダーはこの ファイルを様々なフォルダーに配置する。smbd -bで、 使用するシステムでの配置を確認すること。

schannel_store.tdbY

SMB 署名と共に利用されるセキュア channel アクセストークン情報を格 納する。

passdb.tdbN

tdbsamパスワードバックエンドを利用する場合、Samba の SAM アカウン ト情報を格納する。


TDB ファイルの管理

tdbbackup ユーティリティは samba の tdb ファイルをバック アップすることに使うツールである。 Samba の起動の前または正常稼働中に tdb ファイルの完全性を診断することにも 利用することができる。 ファイルにダメージを見つけると以前のバックアップを探す。ダメージを受けた tdb ファイルのバックアップファイルがリストアされる。 tdbbackupユーティリティは、いつでも安全に実行できる。 Samba が実行中であっても、どんな時でも tdb ファイルの完全性が確認できるよう に設計された。

Samba サーバー上では Samba のスタートアップスクリプトの一部分としてすべての tdb ファ イルをバックアップすることが推奨される。 以下のコマンドシンタックスが利用できる:

myserver# > cd /var/lib/samba
myserver@ > tdbbackup *.tdb

既定の拡張子は.bakである。 tdbbackup -s 'new_extension' *.tdbとスタートアップスクリ プトで実行することで他の拡張子を指定することができる。